営業職を育成する際、
「お前がお客様から信頼されなければ、売れないぞ!」
などの指導がなされている場面を見かけることがあります。
実際、私も新人の際に、上司からそのような指導を受けました。
一見、もっともそうに見えます。
でも、これって、本当なのでしょうか?
◆ 営業職が信頼されるから売れるのか?
結論から申し上げますと、
- 営業職が信頼されようがされまいが、売れるものは売れる
- 営業職が最初から目指すべきは、自社の財・サービスがお客様に提供する価値を、お客様に伝わるように伝えること
- 信頼はお客様が勝手に思うことであって、営業職が信頼そのものを得ようとすること自体が間違い
なんです。
確かに、売れている人はお客様から信頼されているケースもあります。
でも、お客様は売れている人だけを信頼しているわけではなく、購入した財・サービスも信頼しています。
さらに言えば、お客様の中には、売れている人を嫌っていても、財・サービスが気に入っていて購入する人もいます。
そのように考えると、
- お客様から信頼されることは、売上を上げるための「十分条件」かもしれないが「絶対条件」「必要条件」ではない
ということが分かってきます。
(ということを書いても、保険業界とか製薬業界は、過去の成功事例にしがみ付いて、「お客様から信頼されなければ、売れない!」と言い張る人もいます。古い固定概念に囚われすぎです…orz)
さらに、お客様からの信頼獲得を最初の目標に置くと、それに引っ張られる人って、とても多いんですよね。
いろんな企業の方を見てますと、そういう方がたくさんいます。
これって、最終目標である売上を上げることから乖離してますよね。
あくまでも売上を上げることに目標を置いて、そこからブレなければ良いんですが、それがうまくいってないなら、信頼関係を作ることを追わない方が良いです。
(このようなKPI(Key Performance Indicator)の設定や考え方については、別途このコラムでお伝えします)
◆ 結局、売れるには…
もっと楽に売上が上がっても良いんです。
営業担当者が何度も足繁くお客様に訪問しなくても、1回の商談で成立しても良いはずです。
これって、大変効率が良い営業活動・販売活動ですよね。
どうやったらそれを実現できるかを考えないのかが、とても不思議です。
お客様との信頼関係がなくっても、売れるものは売れるんです。
これって大切で、「なぜ売れるものは売れるのか?」を探究することって、当たり前だけどつい見逃してしまう重要なことを見落とさなくなるために必要なんですよ。
◆ 「じゃあ、営業担当者が信頼されなくても売れるのか?」
おそらくこういう短絡的な反論を持つ方もおられると思います。
私が言いたいのは
「営業担当者が信頼されなくて財・サービスが売れても良い」
「営業担当者が信頼されて財・サービスが売れても良い」
「だけど、『こうしなきゃダメ』という考え方では、軽やかには結果が出にくい」
ということなんです。
企業の立場から見れば、売上というものは、営業担当者が不在でも、マーケティングがなくても、売上が上がっても良いんです。
もちろん企業の限られたヒト・モノ・金・時間を有効に活用するために、マーケティングは必要なのですが、でもあまり策を弄して遠回りすることも、企業の業績の推移を鑑みればあまり良くないです。
さっさとたくさん売れた方が良いに決まっていますから。
さらに申し上げますと、企業としては営業担当者に依存した売上って、マーケティングが不要ということになるので、自社の財・サービスの価値がわかりにくくなってしまうんです。
これは次年度以降の売上予測を立てたり、マーケティングプランを作るときに厄介な状況を引き起こすんです。
自社が提供している財・サービスの価値がわからずにクロスSWOTとかの種々のマーケット分析は、できませんから。
さらには、そのように営業力がある人材なら、他社に引き抜かれるかもしれないじゃないですか。
そうなったら、その営業担当者に課していた売上の見込みがなくなるということです。
こんな不安定な売上予測は、予測じゃないです。
おそらく今回のコラムは、ご覧いただいた方によっては、その方の価値観の外の話かもしれません。
なので、次回ももう少し解説します。
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