人材育成は、組織のVisionと合致させ、目標とのギャップを解消するために行うもの

最近いくつかの製薬企業の教育研修担当の方とお話することがあったのですが、そこで人材について話題に上ったことがありました。

下記のような社員が増えているそうです。

  • 「何をすれば売れるのか?」という、すぐ結果が出るセリングスキルを求める営業や教育研修担当者が多い
    → 成果主義の弊害か?
  • 物事を難しく捉えてしまう考え方をする人が多い
    → やらない・やれない理由をたくさん言える人ほど、こういう傾向がある?
  • 自分で主体的に、能動的に物事に取り組まない人が多い。一方で、会社から言われたらその通りにやる人も多い
    → もはや社員がソフトバンクのPepperくんと化した? もしかするとPepperくんの方がマシ?
  • お客さんを見ずに、会社を向いて仕事をしている
    → 自分の保身のつもりが、お客さんに嫌われ、仕事で成果を上げられず、結果的に人生が伸び悩むパターンですね

これらは、私が企業研修の講師を務める時も、同様に感じます。

研修でトレーナーとして講義したり、ワークしたりすると、“やらされ感でやっている営業がとても多いな”と感じます。

ワークの課題が与えられても、何をしていいのかがわからない。

わからないとき、どうやってそれを解決すればいいのかがわからない。

「わからない」と思ったら、そこから先に思考を思いめぐらそうとしない。

トレーナーから声を掛けられるのを待っている。

こういう受講生は、いつも必ず居るものです。

これらの状況を解消しようと、トレーナー側もあれこれいろいろとテクニックを駆使しながら研修をするわけです。

ただし、やはり数時間の研修では限界があります。

主体性がない人のやる気を引き出すには、コーチングなどのもっと違うアプローチも必要です。

研修ではある程度の座学や情報・スキルアップを提供することが出来ますが、社員に主体的な取り組みを促すといった“その本人の在り方への関与”は、1対1の方が功を奏することがあります。
もしくは体験型のロールプレイであれば、複数の受講生の内面に変化が起こせます。

しかし、そもそもその組織が

  • 人材育成のVisionを持っていない場合
  • 企業の成長する方向や営業戦略部門のVisionとリンクしていない場合

は、社員の成長は期待できません。

人材育成は、組織のVisionと合致させ、目標とのギャップを解消するために行うものであり、そのための研修なのです。

“研修部が満足できる研修”を行っても、研修を受けた人材の成長が認められなければ、その研修は失敗なのです。

また、人材育成は研修部だけが実施しても意味や効果が半減します。

社員が所属する部署(MRなら営業部門・営業所等)が、社員の研修前後をしっかりフォローすることが研修の効果を高めます。

「研修は、研修部に任せている」

「社員の成長が認められないのは、研修が悪かったからだ」

等と言っている営業部門のトップは、

  • そのトップの在り方が、社員の成長を妨げている
  • そのトップの人材育成の認識の欠如が、社員の成長を妨げている

と認識すべきでしょう。

営業職が成長しないから、いつまでも営業部門の成果が上がらないんですよね。

営業部門のトップ自身が成長せず、器が小さいから、営業部門全体の実績が悪いんです。

それだけのことです。

そして最後に一言…。

究極的には、“主体的・能動的に仕事に取り組めない社員が多い”企業は、そういう人を好んで採用したということです。

コンプライアンスの遵守など、企業としてリスクを排除することの必要性はとてもよく分かりますし、コンプライアンス違反を犯すような社員は言語道断なのですが、“ビジネスを成長させるために必要な、Innovativeで柔軟な考えを持つ人材を採用する”ことも忘れてはいけません。思考や人材の多様性ですね。

採用部門も研修部門も営業部門も、人材育成について共通の考えを持つというのは当たり前のことなのですが、実際にはそのような取り組みが全く出来ていない企業が多いですよ。

逆に言えば、人材育成を通じて、企業も育成担当者も社員の育成を通じてますます成果を上げられる伸びしろが、まだまだあるということですね。

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