世界的な名著ほど、「○○をすれば良い」なんて書いていない。

皆さまお一人お一人それぞれに、お気に入りの本があることでしょう。

私もあります。

本は、知的刺激に溢れています。

毎年たくさんの本が出版される一方、何十年、何百年と長らく読まれる本もありますね。

なぜ、長く読まれる本があるのでしょうか?

これらに共通することが何か?に、気付いたことはありますか?

今回は、その点を一緒に見ていきましょう。

◆ 世の中には「問題をどうやって解決するか?」を探す人がたくさんいる。でも…

本を読む時とは、どういう時でしょうか?

本に娯楽を求める時もあれば、自身が今抱えている問題をどうやって解決するかの方法を本に探すこともあるでしょう。

それ自体は素晴らしいことです。良いことです。賞賛に値します。

本を読まず、考えもせず、本当は困っていることがあるのにそれを放置して、何も結果を出せずに漫然と生きている人もたくさんいますからね。

困っていることがあって、苦しくって、それを脱したくて誰かに教えを請うたり、本に解決策を見出そうとする取り組み自体、非常に人間的で知的な取り組みですから。

その時に

  • 「問題の解決策“だけ”を探す」

のか、

  • 「そもそもなぜ問題が起こったのか?」
  • 「問題が起こった原因も解決できないか?」

という視点で考えるのかでは、解決策の探し方もそのために必要とする情報、得られる情報も全く異なってまいります。

でも、ここに気付く人って、実はそう多くありません。

amazonの書評とかを見れば、「問題の解決策“だけ”を探す」人が圧倒的に多いことが一目で分かりますよね。

書評で、

「この本には、結局自分がどうすれば良いのかが明確に書いていないので、役に立たない本だ」

などと書いている人って、すごく多いんですよね。

こういう読み方をする人って、今困っていることを解決できれば、それで良いんです。

モノの見方や考え方が、近視眼的なんです。

だから、困ることが次々と起こるんです。

ここ、気付いていましたか?

◆ ビジネス本として売れている本には、落とし穴もある。

このコラムをお読みいただいている方々は、ビジネスパーソンが多いと思います。

そのようなビジネスパーソンなら共感していただけると思いますが、今巷に

  • これをやったら楽して儲かる
  • 今後はこれがヒットする
  • 1日○○分で毎月○○万円が稼げる
  • 売れるビジネスマンはこういう売り方をしている

とかの書籍って随分多いですよね。

一見魅力的なタイトルや内容だったりするんですが、これで疑問に思うことがあるんです。

これらの書籍通りにやってみて、著者と同等に稼げた人って、皆さまの周りにいらっしゃいますか?

私の周りには、一人もいません。

これは私個人の主観ですが、理由は2つあります。

  1. このような書籍は、著者が儲けた「独自のノウハウ」をマネタイズし著者自身のブランドを作るために出版したが、著者が先行者利益をすっかり享受していて、後続の末端の読者にまで利益が行き届かなかった
  2. 読者がその著書を読んでも、結局やらなかった

特に2.は、よく見られますよね。

ご存知の方もおられますが、私自身も2冊出版しておりまして、一部の方には私のことをご存知いただいております。

大変光栄なことであり、身が引き締まります。

そして、それらは私というブランドを出版という形で世に知っていただけたということです。

ですから、出版でブランドを作るということ自体は、私自身否定しません。

それで仕事の幅が広がるなら、どんどん出版することを全力でお勧めします。

ただし、出版物の内容が

  • これをやったら楽して儲かる
  • 今後はこれがヒットする
  • 1日○○分で毎月○○万円が稼げる
  • 売れるビジネスマンはこういう売り方をしている

などは、今は良くても、将来も「今と同様に素敵な未来が待っているのか?」ということを考えると、非常に疑問です。

これらの本が、例えばピーター・F・ドラッカーの「マネジメント」や、渋沢栄一の「論語と算盤」や、孔子の「論語」やスティーヴン・コヴィーの「7つの習慣」よりも長く読み語り継がれる書籍には、どうしても思えないんです。

なぜなら、本の裏表紙側に何回増刷されたかが記されていますが、「楽して儲かる」という本で何十回も増刷されている本って、あまり見ないからなんですよね…。

◆ 長く多くの方々に愛読されている世界的な名著ほど、「○○をすれば良い」なんて書いていない。

むしろ、上記の「マネジメント」、「論語と算盤」、「論語」、「7つの習慣」などは、いずれも

  • 問題を解決するにはどうやったら良いか?

よりも

  • 人として、どのように生きたら良いのか?

ということの方に重きを置かれています。

著者が、そここそが重要だから書いているんです。

人としての在り方や生きる意図が明確であるから、様々なことがうまく行くんです。

視野が広くなるんです。

視野が広いから、何か問題が起こっても、その問題だけにフォーカスを当てるのではなく、より高い次元から様々な解決策を検討できるんです。

視野が広かったら、解決策は後からどうとでもなるんです。

ですから、根本的な問題は、

  • 問題の解決策がない

ということではなく、

  • 自分自身の在り方や意図が明確でない

ということなんです。

ただし、唯一正解の自分自身の在り方は、おそらく存在しません。

世界にいくつもの宗教や価値観などが存在するように、絶対的な人としての在り方は、おそらくないのでしょう。

ですが、世界中の多くの方々が読み継いで来た名著は皆、人としての在り方を説いています。

そこから問題解決の方法を探って、明らかにし、私たちに教えてくれています。

本を読むとき、

  • 自分に役立つのか?役に立たないのか?

という態度や視点で読むのと

  • この本から自分が学ぶべきことは何か?ヒントになることは何か?
  • 自分に思い当たることはないか?
  • 人として、自分自身を見直すべきところはあるか?

という態度や視点で読むのとでは、得られるモノが随分と違って来ます。

おそらく、人間にとって最も興味深く、最も深遠な謎で、最もエキサイティングな存在とは、人間そのものなのです。

その「人間」についていろんな角度から見ることができるから、いろんな人が記した世界的な名著は長く読み継がれるんです。

硬い書籍だけでなく、大ヒットしている漫画の「ワンピース」などもキャラクター同士の友情など、人間味に溢れたストーリーですよね。

ですから、

  • 結果を出すためには、「○○」をやればいい

などと安易なものを探すのではなく、

  • 結果を出すために、はじめにやらなければならないことは何か?

をきちんと取り組みことが必要なんです。

そして、そこにヒントをくれるのが世界的な名著なんです。

このようなアプローチで考えていけば、「結果を出す原理原則」に近づいて行けます。

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