先日、たまたま見ていたテレビで、興味深い内容がありました。
豊臣秀吉について、どのようにして配下の部下や武将、農民たちを手懐けたのか?ということを深掘りした内容でした。
組織の運営に役立ちそうなお話でしたので、皆様と一緒に見てまいります。
◆ そのテレビ番組は、秀吉の何を深掘りしたのか?
その番組によれば、秀吉は蓄えた金品を非常に効果的に使い、部下や武将、農民らを統率していったそうです。
例えば、秀吉は、織田信長が本能寺で明智光秀に討たれた際、備中高松城(岡山県岡山市北区)から山城山崎(京都府乙訓郡大山崎町)までの約200 km を踏破した中国大返しを行いました。
その時、秀吉は途中で立ち寄った姫路城で、場内の全ての金を部下や農民に分け与えたそうです。
そして、京都に戻るまでの間、部下や農民のやる気を高めました。
それによって秀吉の部下は大いに士気を高めて京都まで移動しましたし、農民は秀吉軍を食事などで支援したのだそうです。
その結果、秀吉は明智光秀を討つことに成功しました。
秀吉は、適時に最適な一手を打つために大胆に金品を使うことで、最後には日本を統一できたのだと、そのテレビでは解説していました。
そのテレビでは、この手法について更に様々な角度から金品がもたらす組織運営のデメリットも検討していました。
特にユニークだったのは、「行動経済学から見た秀吉の金品の使い方の分析」でした。
◆ 行動経済学から見た、秀吉の金品の使い方の欠点とは?
多くの場合、金品を振る舞うことでたくさんの人々のモチベーションを高めることができることは、多くの研究からも明らかになっています。
ところが、行動経済学の場合、デメリットも出てくるのだそうです。
皆様は、「アンダーマイニング効果」というのを聞いたことがありますか?(私は初めて知りました)
アンダーマイニング効果とは、
- ボランティアで仕事をしている人がお金をもらうと、以降そのために仕事をすることになる
- 仕事の目的が、すり替わる
- 貰える金品に見合った程度の仕事しかしなくなる
- 結果として、その人のやる気が削がれる
というものだそうです。
これを秀吉が行った金品の使い方に照らし合わせてみます。
例えば、秀吉恩顧の武将たちの一部が、秀吉の没後、徳川家康に付き従ったことなどは、アンダーマイニング効果が出たものとみることもできるでしょう。
部下のために良かれと思って振る舞った金品が、結果として部下のやる気を引き出せず、むしろやる気を削ぐというのは、本末転倒ですよね。
金品を振る舞ったその時は良くても、もっと長い目で見れば、決してその金品がプラスに働かないということは、組織運営の中で悲劇としか言いようがありません。
でも、このような事例は、秀吉の行い以外にも、現在の企業等の組織内でも見かけるのではないでしょうか?
◆ 金品による組織への悪影響をいかに減らすか?
例えば
- 好条件をチラつかせての人材の引き抜き
- 社内での昇進昇格のためのインセンティブ
- ボーナス
などは、どこでも見られます。
これらがもちろん現在の社員のやる気の源泉になっていることも多々あります。
しかし同時に、これまで見てきたような金品の弊害の温床でもあります。
このような時、組織を束ねる者はどのような手を検討するのが良いでしょうか?
要は、金品を使わないで社員のやる気・自発的な取り組みを引き出せば良いのです。
具体的には、
- 金品に依らない組織の魅力
- リーダーとしての魅力
- 競合に決して負けない競争力や競合優位性
などを高めることに取り組むことで、金品を使わずとも強い組織を作ることができます。
(「じゃあ、これらをどうやって高めるの?」ということについては、後日皆様と一緒に検討してまいります)
秀吉は、金に糸目をつけずに多くの人たちを引きつけることに成功しましたが、「金の切れ目が縁の切れ目」という人たちも多数秀吉に群がったことでしょう。
そして、そのような人たちがお金を目当てに家康になびいたとも見ることができます。
逆に、お金に興味関心がない優れた武将は、最初から秀吉になびかなかったかもしれません。
そのような武将を味方につけられなかったことで、秀吉は豊臣家を末長く守るために必要な優秀な人材を得られなかったという損失に繋がったとも考えられます。
これが秀吉の人心掌握術の限界と見ることもできますよね。
人間は多様で、人が考えて簡単に理解できるような存在ではないですし、もっと尊い存在です。
その辺りを改めて見つめ直す機会でした。
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