ここ数年、おそらく2013年くらいから今までにかけては、数年後には教科書やビジネス本に“歴史の転換点”と記載される様々な変化があったように思います。
スマホの登場をきっかけに、購買の仕組みも変わりました。そこに上手く適応してきたAmazonやオムニセブンなどは、既に百貨店やスーパーの存続を脅かす存在と化しました。
AIは今後、更に企業の事業における意思決定を支援するように企業に入り込んでいくでしょうし、AIに蓄積されたデータから様々な企業活動が生まれてきます。
このような環境の変化に注目していると、一方で従来のままビジネスを続けている企業が非常に気になります。むしろ、心配です。
ここ数年に起こっている急激な環境の変化の中では、大企業は非常に不利でもあります。
従来のままビジネスを続けていても、顧客の環境が変化したとき、大企業は顧客のニーズに即座に対応し切れず顧客が離れていって機会損失を生んだり、従来の財・サービスが売れなくなったりして業績が悪化し始めます。
2000年以降の歴史に限って振り返ってみても、ガラケーの○-mode、VHSのビデオデッキなど、私たちがとてもお世話になったにもかかわらず廃れてしまった財・サービスはたくさんあります。
そしてそれに伴って大手電機メーカーらの中でも凋落していった企業も多くあります。大手電機メーカーに限らず、このような企業の事例は、枚挙の暇がありません。
これらの企業に共通して言えるのは、多くの人を擁して財・サービスを開発し、人海戦術で財・サービスを販売してきたということです。
当時はそれで全く問題なかったのですが、どこかの時点*で社員の人数の拡大から一人当たりの生産性の向上に切り替えることが必要になっていたはずなんです。でも、それができなかった・・・。
*どの時点かを見極めるのは難しいと思います。そのための分析手法もいくつかあると思いますが、一番分かりやすいのは一人当たりの生産性を経時的にプロットして、生産性の伸びの傾きがマイナスになった時を企業の経営の方針の見直し時期と見ることはできそうです。マーケティングでいうところの、“売上の伸びが鈍化した時期”と同じ考え方です。
分かっていてできなかったことなのか、分からずにできなかったことなのかは私にも分かりませんが、企業の存続のためには生産性の向上はいつの時代にも避けて通れない喫緊の課題で、永遠のテーマでもあります。
事業の方向や提供する財・サービスを変えようと思っても、その意思決定を全社員に伝え、全員の向いている方向を変えるには時間とお金が掛かります。大所帯の向きを変えるのは本当に大変で、小回りが利きませんよね。
これらの背景にあるのは、“規模の不経済性”が働いてしまうからなんですね。
“規模の不経済性”とは、簡単に言うと
- 規模が大きくなることで生じる不効率性
のことです。
製造業でいえば、ある程度までは規模が大きくなれば製品1個当たりの生産コストが安くなります(ここまでは規模の経済性ですね)が、ある程度組織が大きくなると、逆に全員への情報伝達が大変になったり、コストが高くなったり(そのために全社を集めてのKick offミーティングなどを開催するわけですが、その費用だって億単位になることもざらにありますね)、社員全員の目的意識の共有化が難しくなったりする等、多大な調整コストが発生することが増えます。
結果として、大企業の経営上、組織が肥大化しすぎることはメリットよりもデメリットが大きくなるんです。
数千人もいれば、中にはかなりの数のフリーライダーだって出てきますしね。
ですから、数千人もの社員を擁する大企業のうち、事業ドメインを柔軟に変更できなかったり、環境変化に適応できていない大企業は、既に二進も三進も行かなくなってしまっているんですね。
ここまでくると、今現在大企業にお勤めの方は今後のご自身について心配になるかもしれませんね。
でもここまできたなら、やるべきことは2つです。
- 今の企業で、新たな財・サービスを開発し提供する
- 今の企業にいるうちにご自身のスキルや能力を極限まで高め、今の勤務先がどうなっても自分は次の会社から引き抜きの声が掛かるくらい優秀なビジネスマンになる
これをやっていけば、今後もビジネスの世界で生き残っていく可能性は高まりますよ。
上記のうち2.は、あなたがやる気さえあればすぐにできることですね。
1.は、ちょっと時間が掛かるかもしれません。
長くなってきましたので、1.については、また別の機会に書きます。
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