私は「普通」という言葉が大嫌いです。
また、「普通」を連発する方で仕事ができる方には、なかなかお目にかかったことがありません。
なぜなら、「普通」という言葉が「定義があるようで、実は無い」ために、議論が噛み合わなくなったり、誤解を生じるからです。
例えば、
「普通、こういうことってどうやってるの?」
「普通、こうなんじゃないの?」
「普通の会社は・・・」
「普通の家族は・・・」
などとよく使われますが、上の4つの事例のどれもが「普通とはこういうこと」という定義がないんです。
だから、議論が噛み合わなくなったり、お互いの「普通」の認識のズレからトラブルが生じたりするんです。
これは私たちの想像以上に致命的で、お互いの思い込みによる齟齬が簡単に生じますし、そのことで仕事上お互いが
「こうなるとは思っていなかった」
「なんでこういうことになったのか」
などと損失を被ることが多々あります。
なので、仕事においても日常生活においても、曖昧な言葉は使わない方が良いです。
いろいろと危険ですから。
◆ 安易に「普通」という言葉を使う人には気をつけよう
これまでの私の経験上、安易に「普通」という言葉を使う方には気をつけた方がいいです。
こういう方々は、自分の思い込みで自分の世界を作ったり、自分の価値観の枠組み(パラダイム)からしかモノを見ていないことに気付いていない事が多いです。
そして業務上に齟齬を生じさせ、事態を混乱させたりします。
その上、そこで生じた損失を他人のせいにしたりします。
「自分が物事を曖昧にしたまま進めてしまったから、そういうことになったのだ」
という自覚がないんですよね。
◆ なぜ安易に「普通」という言葉を使うのか?
これも私の経験上ですが、「普通」という言葉を安易に使う方には、
- 言葉を大切にしない
- 言葉を精密に使うことに慣れていない
- 言葉を精密に使う重要性を理解していない
- 語彙が乏しい
- 言葉を深く考えて使っていない
- 物事を深く考えていない、深く考えるトレーニングをしていない
などが見られます。
このように書いて見ると、全く仕事ができない人のように見えますよね。
そして、そのような方々が、結構多く居るんです。
なので、このような方々と仕事する場合には、こちらがリードして、仕事上の様々なプロセスを5W1Hなどのフレームワークを駆使したりしながら抜け漏れをなくして、様々な取り組みを全て明確にしながら、こちらが仕事を完璧に仕上げながら進めていく必要があります。
このようなことができる職種の例として
- コンサルタント
- ITの技術者
などがあります。
こういう方々との仕事は実に気持ちよくて、仕事ができる方と組むと仕事や物事が驚くほどにクリアになり、やるべきことややらなければならないことが明確になるので、実にスムーズに仕事できるんですよね。
◆ 「普通」を駆使する方々の「見えない横暴さ」
「普通」を駆使する方々はには、本人が気付いていない「横暴さ」までも周囲の方々に感じさせることすらあります。
これは、このような方々が使う「普通」の意味の背景に、このような方々の思想や思考、コミュニケーションスタイルとして
- 私が「普通」といった意味や内容を、お前も理解しろよ!
- 私が「普通」と言ったら「普通」に決まってるだろ!
といった意味合いを含むことがあるということです。
一言で言ってしまえば、
- 自分の世界を他人に押し付けて居るに過ぎない
ということです。
これは他人を尊重していないし、うまくいかないコミュニケーションスタイルでもあります。
これで仕事も家庭もうまくいくわけがないんですよね。
相手に自分の意図や考えを押し付け、相手に強制的に理解させよう、そして相手にやらせようとする取り組み方は、仕事において相手を嫌な気持ちにさせます。
相手の横暴さを感じ取ってしまうんですね。
仕事を発注する側がそのようなコミュニケーションスタイルだと、受注する側は気持ち良く受けられないので、受注側は
「このクライアントには、言われたことだけやってれば良いよね」
「このクライアントには、新しい提案をしなくても良いよね。」
「新しい提案は、他のクライアントにすれば良いよね」
などと思うことすらあります。
あまり建設的な仕事の仕方ではありませんが、人間と人間の関係で仕事が成り立って居る場合には、お互いの心情を理解しないと良い仕事はできません。
プロフェッショナルはそういうことも「良くあること」と踏まえた上で、自ら為すべきことを最高の品質で成し遂げますが、世の中全員がプロフェッショナルとは限りませんから・・・。
◆ 「普通」という言葉を使わずに済むようにするには?
ということで、日常頻繁に使われる「普通」という言葉ではありますが、改めて「普通」という言葉が生じさせる損失を見てきました。
観点を増やすと、「普通」という言葉がいかに機能しない言葉なのかが掴んでいただけたかと思います。
「じゃあ、どうしたら「普通」を使わずに会話するんだよ?」
という疑問も出てくることでしょう。
その回答はただ一つ、
- 「普通」という言葉を、「普通」を使わずに、自分の考えや意図を踏まえ、言いたいことを明確にするトレーニングをすること
です。
そのためには、物事を深く考えたり、語彙を増やすことも必要かもしれませんね。
例えば、
「普通、この商品はどれくらいの期間で完成するの?」
を
「もし何も問題が生じないなら、この商品はどれくらいの期間で完成するの?」
などと言い換える練習をするということです。
繰り返しますが、「普通」というのは自分の価値観を相手に押し付けて居るに過ぎません。
「普通」という言葉を安易に使う方々には、十分に気をつけましょう。
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